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2014-11-10

その6:紋紙の準備

今回は、織柄をいれるための紋紙の準備です。生地に織柄を入れる場合、ジャカード織機というのを一般的には使います。
— Wikipediaの説明抜粋 —
織物は経(たて)糸と緯(よこ)糸を組み合わせたものであり、特定の経糸を上げたり、下げたりして、その間に緯糸を挿入することによって織っていく。ジャカードとは、織機の上に設置し、個々の経糸を上げたり下げたりすることで複雑な柄を織る装置であり、これで織った織物がジャガード織物である。紋紙と呼ばれる紙に、一定の規則に従って穴を開け、その紋紙をジャガードに読ませ、選択的に経糸を上げ(それ以外の経糸は下がる)、意図した柄を織ることができる。

私も詳しい事は言えませんが、正絹の着物生地だけでなく洋装生地、ネクタイ地でも織柄を入れる織物はジャカード機なのでしょう。

このジャカード機。
本場は、西陣織でしょうか。
白生地でいうと丹後産地です。
ちりめん生地にきれいな紋意匠を織り込まれたものが特徴ですね。
イメージ写真は勝手にのせれないので、googleの画像検索のリンクでも。

その本場や海外では、この織柄を出すのにダイレクトジャカードや電子ジャカードという設備を導入し、電子データから紋意匠図を作成し、生地を織る事ができるようにしているのですが、当社では、昔ながらの紋紙という古い設備でやっています。当社も一時期検討したそうですが、色々な面を考慮し現状の設備でやっています。やはり、電子化というのは魅力的な反面、私たちのような業界では逆に設備のバージョンアップ(外部メディアの取り込みが変わるなど)を支えきれるほどの売上を生み出すのは難しいからですね。アナログのほうが自分たちでメンテナンスできる!という良い点もあります。

それはさておき・・・

「正絹の白生地」という狭い範囲に限定すれば、着尺生地(きものを作るのに必要なサイズ)である36~38センチぐらいのものは多くありますが、当社は特殊織物としての正絹生地も製造しているので、70センチ弱くらいまでは、生地幅を出す事ができます。
そしてこの度はその中でも一番緻密な織柄を表現することができる緞子(ドンス)という生地を作ることにしました。

なぜなら、今回のデザインは、迫さんテイストあふれる可愛らしい手書き雪だるまだから!!
命である顔の表情は絶対に表現させたい!!

よくある紋意匠の生地は、ちりめん地などが多く、緻密な柄にはむかないのでは?と勝手に思っています。
今回は五泉の強みを最大限発揮したく、「濡れ緯(ぬれよこ)」を使います。これにより多くの緯糸に打ち込みが入り、地締りがよく、綺麗な緻密な織柄が出せるのではないか!と期待しています。

こんなかわいらしいデザインの正絹生地を織柄入れて織っているところあまりないでしょう。笑
それがまた楽しく、ワクワクさせるのです♪
(何に使うかは全く決まっていませんが・・・)

さて、今回の作業は紋紙という模様に対応したパンチカードを、織り機にセットできるように串をつけるだけです。
それだけです。地道な作業です。
紋紙は、デザインを表現するのに必要な緯糸分の枚数になります。
当社の場合、デザイン制約があり、一完全(ひとかんぜん)のデザインが、縦・横に繰り返していきます。
一完全(ひとかんぜん)とは、デザインの最小単位です。んー分かりづらいですね。
染で表現するような豪華絢爛なデザインは起こせませんが、小紋のようなものは織柄として入れる事ができます。

10/23 午後

これが紋紙です。これを機械にセットできるように紋串をさしていきます。

串をセットし、ずれないように紐で固く結びます。
ギュッとしばるので手が痛くなります。

今回の迫さんのデザインの紋意匠図。可愛い雪だるまです。
これが表現できるでしょうか??(頂いたデザインデータの手書きの線の若干の強弱まではさすがに難しいか・・・)

今回は400枚です。当社にあるドンスの生地としてはかなり少ないほうですね。
初めてなので、迫さんにあまり大きくならないサイズでお願いしたからですが・・・。

仕上がりはこんな感じ。これを織る時に織り機にセットします。

次回は、織り機での準備作業です。