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2014-10-28

その4:たて糸をつくる いよいよ巻きます

その4です。

前回までは整経(せいけい)と言い、織物を作るための経糸の準備段階まで説明しました。
ようやく、ここから経糸を作っていきます。

その前に整経って何をするの?ということが分からないですよね。
簡単に言うと、作りたい生地の長さ、幅にするために、糸をドラムに巻いていきます。
長さは、ドラムに巻く分ですよね。
実際は、精練という加工をすると縮むのでその分を考慮して長さを決めます。
では、幅はどうやって??ですが、
例えば分かりやすい例ですが、1万本の糸を使って70センチの幅、100メートルの生地を作ろうとしても木枠は1万個もありません。笑
よって、木枠が400個あったとすると、1回で使えるのは400本です。
これをドラムに100メートル分巻いてはずらし、巻いてはずらしと、25回繰り返します。

この整経も大きくわけると2工程に分かれます。
4-1.ドラムに巻く
4-2.ドラムからビーム(お巻)に巻く。

とにかく整経ですが、間違えられない、のです。
経糸は、作る際に間違えてしまうと、その分全てがパーです。
100mの経糸を作ろうとし、失敗するとそれを全て台無しにしてしまいますからね。
だから規格通りに確実に作れるよう配慮が大切なのです。
悪い糸は使わない、節の少ない高品質な糸のみを使います。
糸も切れにくいように生糸は糊でコーティングします。
当社では主にベテランの工場長が主にやっています。
私も習っていますが、確認!確認!確認!確認!確認!確認!確認!確認の嵐。
ちょっとの手間を惜しまず、大きなミスを防ぐのを習慣にしています。

とは言っても絹は天然の動物性繊維、何かあるのが当たり前。
糸が切れたり、虫に食われたり、色んな事が起こります。
それをうまく対処することこそが、この整経のキモ。
悪いことが前提で、それにどんな形であれ対処してやるという技術と心意気が大切です。
私みたいにやりながら(職人さん付き添いのもと)何もおこらないでくれ~って祈っているようではダメです。笑

10/23 午後

ドラムに巻くには、糸を綺麗に引き揃えます。

綾を取るように上下2段に糸が分かれるようになっています。それを綺麗にわけます。

ちょっと見えづらいですが、ドラムに引っ掛ける部分があり、そに糸を縛ります。ドラムが回ると糸が引っ張られるというわけ。

綾(あや)を作ります。織物はこの綾が命といっても過言ではありません。
絶対にミスできない部分です。
織機で緯糸を打ち込むには経糸を上下にあげたりさげたりせねばならないですが、そのためには綾というものが必要になるのです。
ちなみに、すでに私1回やらかしました。(職人さんがトイレに行った隙に・・・)
織場で綾がない、と大騒ぎになり大変な労をかけてしまいました。

命の綾を作りました。

ドラムを回している間は、糸のテンションを手で感じます。
糸が切れる時はピンッっと張ります。すぐに止めて直します。
糸が抜ける時(虫にくわれていたりなどし、木枠にまかれているようだが途中で切れている)は、機械のランプを凝視し、光ったらすぐに止めます。機械が感知出来ない場合もあるので、流れてくる糸の太さなどを見つつ対処します。
すぐにドラムを止めても、糸が切れて1本少ない状態などで巻かれている事もあるので、ドラムを逆回転させて切れたところを探し出します。そして、糸をつなぎ所定の本数になるよう、テンションを変えないようにまた巻きます。
これが難しいのですよね、テンションを均一にしなければならない訳で、ピンっと張ってまかれていたものを緩める、また同じテンションにするってのは相当な技術を要します。

今回はまだ試験段階でもあるので、少しだけです。

普段はいらないところから写真もとってみました。

糸が引き揃って流れていく様はとても綺麗です。
しかし見とれている場合ではありません。今回は1本使いなので、もし切れたり抜けたりするとすぐに分かりますので、ここもドラムを回しながら随時チェックします。

所定の長さで巻いたら、ピンってさしてほどけないようにします。そしてカットし、また次へ。

出来上がりです!!

ここまでで、ドラムに巻きつけたところ。
次はこのドラムの後ろ側でビームに巻くところです。